『マーロー殺人クラブ』シーズン2感想:優雅な英国生活と驚きのトリック【ネタバレあり】

英国風の優雅なティータイムのイメージ ミステリー

テムズ川沿いの美しい町、マーロー。そこはまるでおとぎ話に出てくるような平和な風景ですが、一皮むけば複雑な人間関係が絡み合うミステリーの舞台でした。

私がこのシリーズを愛する理由。それは単なる犯人当てではありません。日常では味わえない「点と点が鮮やかに繋がる瞬間の快感」と、そこに生きる人々のドラマです。

今回は『マーロー殺人クラブ』シーズン2(全3話)を一気に鑑賞して感じた、この作品ならではの魅力と、思わず膝を打ったトリックについて綴ります。

この作品はこんな人におすすめ

  • 『ミステリー・イン・パラダイス』のような、軽快かつ論理的な脚本が好き
  • ドロドロした暗さよりも、明るい風景の中で起こる知的な事件を楽しみたい
  • 自立した大人の女性たちの活躍や、英国流のライフスタイルに興味がある

1. シーズン2 全3話のあらすじ(ネタバレなし)

物語は、優雅なパーティーや平和な住宅街の裏側で進行します。

第1話:華麗なる邸宅の悲劇

結婚を控えたパーティーの最中に起きた事件。イギリス貴族の相続問題や、もともと不穏な空気が漂っていた家族間の確執……。
「怪しい人物」がそのまま犯人なのか、それともミスディレクションなのか? オーソドックスながらも引き込まれる導入です。

第2話:袋小路の「身元不明」遺体

住宅街の一角で発見された男性の遺体。しかし、住民の証言を聞けば聞くほど、彼が「誰なのか」が分からなくなっていきます。
「被害者は誰?」という謎が、犯人探し以上に物語を牽引するエピソードです。

第3話:繋がる点と線

過去の因縁、隠された嘘、そして時計のトリック。バラバラに見えたピースが、ジュディスのひらめきによって一つの絵になります。
ジュディスの人生にも「新しい挑戦」の時が訪れる、見逃せない最終話です。

2. 作品を彩る「英国らしさ」と女性たちの魅力

この作品の魅力は、事件だけではありません。

「英国的」なのは天気ではなく、人

舞台となるマーローは、どんよりした曇り空のイギリス…というイメージとは異なり、陽光溢れるリゾート地のような明るさがあります。ヨーロッパの観光地のような華やかさがあり、見ているだけで心が弾みます。

一方で、随所に感じる「英国らしさ」。それは階級意識の残る人間関係や、独特のユーモアを含んだ会話の端々にありました。風景よりも「人」の中に、英国の文化が息づいています。

いくつになっても輝く!3人のライフスタイル

年齢も立場も違う3人の女性たちが、ジュディスの屋敷に集まって作戦会議をするシーンはこの作品のオアシスです。

  • ジュディス: クロスワード作家であり元考古学者。未亡人として優雅に暮らしながら、知的好奇心は誰よりも旺盛。
  • スージー: 自由気ままなドッグウォーカー。お金持ちではなくても、好きなことをして自分らしく生きる姿が潔い。
  • ベックス: 牧師の妻。一見お堅いけれど、調査能力と度胸はピカイチ。

特に今シーズン、ジュディスが「考古学」への情熱を再燃させる場面で引用した孔子の言葉(※劇中意訳)が心に響きました。

「人生には二つの人生がある。一つしかないと気づいた時に、二つ目の人生が始まる」

過去のキャリアや年齢にとらわれず、新しい扉を開こうとする彼女の姿を見て、「いくつになっても人生は新しく始められる」と勇気をもらいました。

なぜ「素人」の彼女たちが捜査できるのか?

ミステリードラマでありがちな「警察が無能に見える問題」。本作のリアリティを支えているのが、捜査責任者であるタニカ警部(代理)の存在です。

本来なら一般人の介入を嫌がるはずの警察ですが、彼女は組織内での微妙な立場(上司が戻ってくるかも?)や、母親業との両立に悩む「等身大の苦悩」を抱えています。

彼女たちが事件現場に首を突っ込むことに呆れつつも、その鋭い視点を頼らざるを得ない……。そんな「職場の冷遇を跳ね返したい警部」と「お節介な3人組」の、友情とも利用関係ともつかない絶妙な距離感こそが、この物語に説得力を与えていました。


⚠ ここから先は、事件の核心(トリック・ネタバレ)に触れています。
視聴済みの方、またはネタバレOKの方のみお読みください。
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3. 鑑賞メモ:私が「しびれた」謎解きポイント

第1話:密室と「きらめく光」の正体

密室状態の書斎で、倒れてきたキャビネットの下敷きになり亡くなっていた当主。一見すると不慮の事故のようでしたが、ジュディスの目はごまかせませんでした。

ポイント:元妻が見た「光」の意味

元妻が屋敷の外から目撃したという「一瞬のきらめき」。それがただの反射ではなく、真上の部屋からキャビネットを吊るしていたワイヤーを焼き切るための仕掛け(マグネシウム)が発した閃光だと気づいた瞬間、すべての謎が解けました。

被害者はキャビネットが倒れる前に既に殺害されており、落下は「死亡推定時刻をごまかすため」のアリバイ工作だったのです。
物理的なトリックと、家族全員の怪しい行動を組み合わせた構成が見事でした。

第2話:思い込みを逆手に取る「物理トリック」

「遺体は重いから女性には運べない…つまり犯人は男?」

誰もがそう思った瞬間、私も「これが事件を解く重要ポイントだ!」と直感しました。しかし、真相はその斜め上を行くものでした。

真相:運べないなら、二人で運べばいい。

「犯人は一人」という固定観念と、「女性には無理」という思い込みを利用したトリック。ミステリーの定番ではありますが、この発想の転換には改めて膝を打ちました。『ミステリー・イン・パラダイス』の脚本家らしい、物理的制約をロジックで突破する面白さです。

第3話:点と点が繋がる「時計」と「写真」

最終話では、バラバラだったピースが一気に繋がりました。

  • 時計の謎: 「ジェームズに譲った」という証言と、過去の修理記録の食い違い。
  • 集合写真: 被害者が大切に持っていた写真に写る人物の正体。

ジュディスがこれらを繋ぎ合わせて「そうか、あの人が…!」とひらめく瞬間。これぞ本格ミステリーの醍醐味です。
犯人の目星はついていても、「なぜそうしたのか(動機)」や「過去の因縁」がロジカルに明かされる解決編には、非常に高い納得感がありました。

4. 総合評価まとめ

ストーリー構成 ★★★★☆ 物理トリックと心理戦のバランスが絶妙。
映像美・風景 ★★★★★ 明るいリゾート地のような景観が眼福。
トリックと解決の納得感 ★★★★☆ 犯人の意外性よりも、伏線回収の鮮やかさが光る。
キャラクターの魅力 ★★★★★ 3人の女性たちの結束と、人生を楽しむ姿勢が最高。
総評:
派手なアクションや奇抜なドンデン返しはありませんが、じっくりとロジックを積み上げ、最後にカチッとハマる快感を味わえる良作です。
2時間サスペンスのような安心感と、本格ミステリーの知的な刺激。その両方を「いいとこ取り」したい気分の時にぜひおすすめしたいシリーズです。
視聴方法について
私は「ミステリーチャンネル(旧AXNミステリー)」で視聴しました。
現在のところ日本での最速放送はこちらのようですが、今後Amazon Prime VideoやU-NEXTなどでの配信も期待したいですね。
※放送・配信状況は記事執筆時点の情報です。
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